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肩こり

肩こりの基礎知識

肩こりの基礎知識

 肩こりを引き起こす要因は色々あります。整形外科的な要因は頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症、頚部脊柱菅狭窄症、胸郭出口症候群などです。内科的な要因は高血圧、狭心症や胆石症の関連痛などです。自律神経失調症、更年期障害、精神的な緊張、気象条件の影響を受ける人もいます。表面的な硬さが目立って皮膚のゴワゴワ感があれば、膠原病による筋炎や結合組織の繊維化も考えられます。

 生活習慣としては運動不足、睡眠不足、過労、喫煙、飲み過ぎなども影響します。一般的な肩こりは姿勢と結び付けて説明されることが多いです。

姿勢と肩こり

 不良姿勢で首や肩への負担が増すと、筋肉は緊張状態の持続を強いられて内圧が高まり、静脈が圧迫されてうっ血を起こします。新鮮な血液の流入を低下させて酸素や栄養が不足し、疲労物質や発痛物質が溜まって肩こりや痛みを感じます。血行不良が続いて筋繊維内のATP(アデノシン三リン酸)が不足すると筋肉は緩めなくなり、さらに血行を悪くして悪循環に陥ります。

 痛みが長引くと交感神経が興奮して抹消血管を収縮させ、血行を悪くしてさらに痛みを招く悪循環も起こります。痛みの長期化で感覚神経が過敏になると、本来は痛みを起こさない刺激にも反応して痛みを感じる状態になり、神経障害性疼痛を起こします。これらが肩で起これば慢性の肩こりに、腰で起これば慢性の腰痛になります。いずれにしても、筋肉の緊張をほぐして血行を良くすれば悪循環の改善を期待できます。

 肩こりの原因になる筋肉は主に僧帽筋と説明されることが多いですが、それほど単純ではありません。腕の重さと姿勢により肩甲骨が下や前に引かれる力に抵抗する僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋。腕の重さを支える棘上筋。前傾姿勢や下を向いた時に頭の重さを後ろから支える僧帽筋、板状筋、脊柱起立筋、横突棘筋。眼の動きに連動して頭の位置を微調整する後頭下筋。以上の筋肉の疲労が肩こりの主な原因と考えられます。

 これらの筋肉を触り別けて表情を感じ取り、コリの芯を捉えてほぐせば楽になります。コリの芯は米粒大や、それよりも小さくてシャーペンの芯位の太さに感じることもあります。しっかりとポイントを捉えて明確な目的意識と確信を持ってほぐせば高い効果を出せます。これを何時間も続けるのはそれなりに集中力を要しますが、家族や友人の肩こりをほぐす位の時間であれば、慣れてコツさえ掴めば難しくはないと思います。

セルフケア

 問題の筋肉を出来るだけ大きく動かして血流を促し、積極的に疲労物質を解消します。こっている所を自分の手で押さえて首や肩甲骨をゆっくり大きく回したり、ストレッチをして十分に筋肉を伸ばしたり、数秒間思いっきり筋肉を収縮させてから一気に脱力して筋肉内の血流量が増すイメージをするのも有効です。

 僧帽筋のように大きな筋肉は動きの幅も大きいので、自分で動かしたり伸ばしたりして緩めやすいですが、横突棘筋や後頭下筋のように個々の繊維が短い筋肉は動きの幅も小さく、自分で動かして緩めるのは難しいです。電子レンジで温めて繰り返し使えるホットパックや使い捨てカイロで暖めたり、お風呂にしっかり浸かって全身の疲れを取るのもよいでしょう。

 日頃の注意点としては、同じ作業姿勢を長時間続けないようにし、こまめに小休止をして首や肩甲骨の軽い運動をするとよいです。姿勢の改善と意識も大切です。前傾姿勢が癖になって背中や首が丸まって肩が前に巻いていると、体の前面の筋肉が伸ばされる機会が減って縮こまってきます。背すじを伸ばして胸を広げるのがしんどくなるので、これらの筋肉のストレッチも必要になります。

重度の肩こり

 ただの肩こりでは済まされない位の重度の肩こりがあれば、健康上の大きな問題を抱えている可能性があります。

 睡眠時無呼吸症候群では、眠っている間に何度も窒息死しかけています。全身が低酸素状態になり、細胞の物質代謝が邪魔されて疲労物質の分解が遅れます。筋肉疲労による肩こりや腰痛は重症化しやすくなります。脳細胞は酸欠によるダメージを受け易く、酸素不足を血流不足と勘違いして心臓に鞭打って血圧を上げ、心疾患や脳血管疾患にかかるリスクを大幅に高めます。心当たりがあれば、今すぐにでも睡眠外来のある内科を受診しましょう。

 歯軋りや噛み締め癖があると、睡眠中でさえ顎や舌、首や肩、人によっては背中や腰まで力が入り、体が休まる暇がありません。起きている間も力んでいることが多く、肩こりや腰痛がきつくなります。空気を呑み込む癖を伴うと胃の不調を感じることもあります。唇を閉じたまま顎を動かして歯をカチカチ鳴らしてください。上下の歯が接している瞬間が普段の状態であれば噛み締め癖があります。歯科や口腔外科を受診しましょう。

身体イメージと姿勢の歪み
筋収縮と血流の関係
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