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姿勢

利き脚が先か、軸脚が先か?

利き脚が先か、軸脚が先か?

 サッカーなどでボールを蹴る側の脚が利き脚で、ボールコントロールなどの精密な動きが得意な反面、片脚で体重を支える安定性では軸脚に負けます。ボールを蹴る際に、利き脚の自由な動きを確保するために体重を支えるのが軸脚です。キック力は助走による運動エネルギーと蹴り脚の瞬発力から生み出されますが、軸脚のバランス感覚がとても重要になります。

 歩行中に軸脚で体を支えている時は、安定しているために利き脚の振り幅が広く、利き脚で体を支えている時は、不安定なために軸脚の振り幅は狭くなります。そのため、体は直進せずに軸脚側に曲がっていこうとしますが、通常は視覚情報によりコース修正されています。腕の振り方と両脚の安定性の左右差が小さく、コース修正のために費やすエネルギーが少ないほど、直進歩行(走行)の効率は良くなります。

 日本人に左脚重心が多いのは、武士が腰の左側に帯刀していた名残りだとの主張がありますが、当時の武士の人口比率や、縄文時代から続く長い歴史の中での時間的割合から考えても無理があります。何よりもトラック競技のほとんどが左回りの事から、左脚重心が世界的に多数派ではないかと推測できます。

 人体中で最大の実質性(中身が詰まった)器官である肝臓の約8割が上腹部の右側に位置するため、上半身の重心が右側に偏ります。それとバランスを取るために左脚重心になり、消極的な理由で利き脚が右になるのではと考えられますが、あくまでも推測の域を出ません。

 腕も脚も右利きの人が多いのは、右半身の意識的な運動を司る領域が大脳皮質の左半球にあり、同じ左半球にある言語中枢の発達との関連説や、単に進化論的な自然淘汰の結果とする説がありますが、正確な答えは知りません。利き脚が先に決まるのか、軸脚が先に決まるのかは謎のままです。

 体を左右均等に動かすスポーツは100m走や競泳など、全体のごく一部に限られますし、日常生活でも左右均等に体を使う機会は珍しいでしょう。人体を工業製品や建築物のように考えて、重心をきっちり左右のど真ん中にはめ込もうとする必要はありません。